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市街地にある神社周辺の緑地群

 日本に数多くある神社は、祈りの場、歴史や伝統の保持、生物多様性の維持、自然体験、コミュニティの形成など、多面的な価値を有している。一般的に神社には、境内やその周辺に、神殿や参道を取り巻くように緑地が維持されていることが多い。例えば、境内やその周辺に、神殿や参道を取り巻くように配置された社叢や鎮守の森は、その典型例である。

 

 都市的な土地利用が進展する市街地においても、神社やその周辺には緑地が多く残存しているのだろうか。こうした疑問を明らかにするため、本研究では宇都宮市の市街地にある100社あまりの神社を対象として、神社とその周辺の緑地の分布特性について調査を行った。

 

 GISを用いて神社の正確な位置情報を持つポイントのデータベースを作成するとともに、衛星画像を使用して、約10 mの空間解像度で緑地の分布状況を正規化植生指数(NDVI)を用いて評価した。神社を中心に、半径を10 mずつ大きくしたバッファーを作成し、この中に含まれる緑地の分布をNDVIを用いて計算した。

 

 分析の結果、市街地の神社及びその周辺は、神社から半径130m程度の範囲までNDVIの値が高く、植生に覆われた範囲が有意に認められることが示された。宇都宮市街地の神社のケーススタディで示されたように、緑地が貴重な市街地において、神社を緑地の空間的基点として見直すことができるのではないだろうか。 

ランドスケープ研究(2018 年 82 巻 5 号 p. 709-712)

宇都宮市の市街化区域と神社の分布状況及びSentinel-2を用いて算出したNDVI画像

(市街化区域を明示するため、NDVI画像の区域外はグレーアウト表示している)

神社及びランダムポイントからのバッファー半径とバッファー内NDVI平均値の推移

p < 0.05の範囲を表示)

神社及びランダムポイントからのバッファー半径とバッファー内に植生被覆域がある神社の割合